被保佐人の居住用不動産処分許可②
売買契約日がやってきました。
売主の法定代理人として締結します。
私事ですが、過去数回どちらの立場でも当事者になったことがあります。
よって、過度の緊張感はありませんが、法定代理人として当事者の立場に立つこと、買主様にとっては一生に一度か二度、あるかないかの契約であることを考えれば、失態は許されません。
今回の売買契約は、裁判所の許可を条件とする、買主様には馴染みのない内容であるため、少しでも安心していただけるように売却に至った事情等、時間を割いて説明しました。
1時間半ほどを要したでしょうか、買主様であるご夫婦とも和気藹々と雑談を交わしつつ、滞りなく終了しました。
居住用不動産処分許可の申立に必要な売買契約書、査定書等を受け取り、急ぎ事務所に戻るや否や、申立書の作成に取り掛かりました。
事前に作成していた下書きに、買主の住所・氏名を書き入れ、完成させます。
事情説明書には、特に処分することが必要であること(必要性)を強調して記載します。
添付書類は、以下の書面を用意します。
①不動産登記事項証明書(原本)
②評価証明書(原本)
③売買契約書(写し)
④査定書(写し)
⑤解体見積書(写し)
⑥財産目録と収支予測表
査定書は、売却価格が適正な価格であること(相当性)の疎明資料として。
財産目録と収支予測表は、売却することの必要性の疎明資料として。
居住用不動産処分許可審判に対しては、即時抗告ができません。告知を受ければ確定します。
善管注意義務を負っていますので、慎重にチェックして、一式投函しました。今日は日曜日、明日月曜日には配達されるでしょう。
後に控える、解体・滅失登記・決済に着手するには、この家庭裁判所の許可が必須条件です。
様々な情報によると、許可審判までに早くて2週間、通常は1~2ヶ月かかるようです。
書類の再提出なども求められることもあるようです。
気長に待つしかありません。
それが・・・・
翌日に家裁書記官から、
゛被保佐人の氏名が登記事項証明書には俗字が使われていたり、正字であったりしていますが、法務局に審判書を提出しますよね。審判書の記載をどうしましょうか?”
そうでした、登記事項証明書の氏名の表記に正字と俗字が混在していていました。
正字と俗字の氏名の表記を併記してもらうことにしました。
書記官としても、どの様に記載すれば登記が通るのかわからないので問合せ頂いたようです。
見落としていました。助かりました。
前提の氏名更正は不要である、と登記先例にありますが、審判書に併記していただくことで同一性が証されたものと解釈してもらえるのではないでしょうか。
要旨 登記義務者である登記名義人の登記簿上の氏名が、「誤字俗字・正字一覧表」(平成6年11月16日民二第7007号民事局長通達)中の正字で記載されているものについて、印鑑証明書の氏名に右一覧表中の誤字俗字が使用されている場合でも、登記名義人の表示更正登記を要しない。
問 登記名義人の氏名が「誤字俗字・正字一覧表」(平成6年11月16日民二第7007号民事局長通達)中の正字で記載されている場合において、根抵当権設定登記の申請書に添付する印鑑証明書の氏名が右一覧表中の誤字俗字が使用されているときでも、前提としての登記名義人の表示の更正の登記又はその者が同一人であることの証明書の添付は要しないものと考えますがいかがでしょうか。
答 ご意見のとおりと考えます。
登記研究573号
数日後、許可審判書を受け取りました。
関係者にも連絡し、解体作業の調整を開始します。
建物内の家財の処分をしなければなりません。
・・が、気になっていたことがありました。
それは、
お仏壇の処分です。
お仏壇の魂抜きをした後に、仏壇を処分します。
そこで、菩提寺の僧侶に法要をお願いしました。
数日後、僧侶による神妙な魂抜き法要が執り行われました。
私自身とは本願寺派を異にし、仏事に関しては分からないことばかりで、お布施やお供え、仏具の用意など、結構神経を使いました。
゛やれやれ ″ 法要が滞りなく終了し、無事に解体工事を行うことができます。
併せて、ご近所にご挨拶に回りました。