権利能力なき社団の代表者名義となっている土地の、認可地縁団体○○自治会への移転登記をすることになりました。

昭和55年頃に土地の名義が当時の権利能力なき社団の○○自治会代表者名義であり現在に至っているため、その後平成8年に認可地縁団体として法人格を取得した認可地縁団体○○自治会名義へ「委任の終了」を原因とした所有権移転登記をするものです。

司法書士には馴染みのある論点ですね。

             

当該土地は4名の代表者の共有となっており、代表者全員が死亡し、その相続人が十数名に及んでいます。

さて、どの方法を選択するか・・・。

一つは、登記実務の原則とおり、○○自治会を権利者、登記名義人の権利義務を承継した相続人全員を義務者として、共同申請する方法。もう一つは、裁判手続きを利用して、○○自治会を原告、相続人全員を被告として、判決による登記をする方法。

前者では、相続人全員に登記原因証明情報の作成や印鑑証明書の取得、さらに本人確認情報の作成など、多大な負担を強いることになるし、印鑑証明書3か月の有効期限がネックで無限ループに陥る危険性も排除できないし・・・。

後者では、馴染みのない裁判手続きに被告として協力願うことになり、心理的プレッシャーは如何ほどのものか・・・。

登記完了までの費用と時間を考えると後者を選択すべきかとも思うが・・・。起こりうる事象や手間を想定しながら悩んだ挙句、やはり訴訟による手続きを選択しました。

相続人を確定するため、名義人の出生からの除籍謄本や原戸籍などを収集し、相続人の住所を特定するための戸籍や戸籍附票を揃えました。

本会の研修でお世話になった先生にアドバイスを受けながら、訴状の作成に取り掛かります。訴額の算定から訴状文案の大半をご教示いただきながら。

             

【土地所有権移転登記手続請求事件】 

訴額の算定 ・・・ 

民事実務講義案Ⅰ(司法協会)から引用
「地方税法349条により固定資産税の課税標準となるのは固定資産評価額である。もっとも土地を目的とする訴訟については、平成6年4月1日以降から当分の間、受付事務の取扱いとしては、固定資産評価額の2分の1を乗じた金額と基準とする(平6.3.28民二79民事局長通知「土地を目的とする訴訟の訴訟物の価格の算定基準について」)。」

・・・つまり、訴訟物(所有権)の訴額算定にあっては、目的たる物の価格=土地の固定資産評価額の2分の1となるんですね。

再び引用                                                                         「抹消登記手続請求 抹消登記手続を求める登記が存在することによって原告が主張する自らの所有権が妨害さ れている状態が現出しており、これはその状態の排除を求める訴えと理解することができる。 このことを前提に訴額通知が示す基準に準じて算定する(土地についての軽減措置に留意する。)。 所有権移転(又は保存)登記抹消登記手続請求 目的不動産価額の2分の1の額。真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手 続請求についてもこれと同様である。」

・・・さらに、所有権移転請求でも実質が抹消であればさらに半分になるという。 

そこで、固定資産評価額から2分の1を乗じ、さらに2分の1を乗じた結果、訴額は140万円以下となり、簡裁事案となり、○○簡易裁判所に提起することになりました。”万が一駄目でも地裁支部に移送になるだけ”とのアドバイスが後押ししてくれます。

          

原告 ○○自治会 代表者○○〇〇  (送達場所をは当事務所としました。)

被告を列記

         

次は、請求の趣旨、請求の原因となるのですが、今回はここまでとします。

次回に続きます。